「新・都市論TOKYO(集英社新書)」という本を読んでたら、森ビルの歴史が面白そうだなーと思ったので、調べてまとめてみました。
森ビルは六本木ヒルズのような大規模再開発を手がけるデベロッパーですが、その歴史は西新橋の小さな貸しビル業から始まったそうです。
時代ごとに、どんな場所で、どんな規模の開発をしてきたかを知るために、森ビルが手がけたビルやプロジェクトを年代ごとに色分けした地図を作りました。日曜日の朝からNHKの将棋中継も見ないでまとめました。
■1960年代 ■1970年代 ■1980年代 ■1990年代 ■2000年代 ■2010年代
古いほど青く、新しいほど赤くなるように色分けしています。データは森ビルのサイトからひっぱってきましたが、もう建ってないビルは載っていないので残念ながら全部ではありません。ただ傾向は分かるんじゃないかと思います。
都心についてはこれがだいたい全体図ですが、小さすぎてよく分からないので時代ごとにズームしながら見てみます。
1960〜1970年代
■1960年代 ■1970年代 ■1980年代 ■1990年代 ■2000年代 ■2010年代
右上の「西新橋」の文字の近くの青緑色の四角が、森ビルが1956年に最初に建てた「西新橋2森ビル」です。
後から竣工した「西新橋1森ビル」もすぐ近くの外堀通り沿いにありましたが、今は取り壊されてしまいました。
その後、1960年代から1970年代にかけては虎ノ門付近に多くビルを建てたようです。青と紫の四角がよく見えます。この時代のビルには「虎ノ門35森ビル」のように名前に数字がふられていたため、ナンバービルと呼ばれたとのこと。
1978年のラフォーレ原宿は、初めての商業施設であり、初めて港区の外でおこなった開発でもあったようです。この頃からちょっと手を広げ始めた感じですね。
1980〜1990年代
■1960年代 ■1970年代 ■1980年代 ■1990年代 ■2000年代 ■2010年代
この時代の大きな成果は、左にある紫の大きな領域、1986年のアークヒルズです。
アークヒルズは、赤瀬川原平の「超芸術トマソン」で「ビルに沈む街」としてまさに開発中の様子が取り上げられた場所でもあります。有名な煙突写真が撮られたのとほとんど同じ場所に、アークヒルズの煙突が建っているのは偶然と思えない、ということが本にも書かれていますね。
このアークヒルズが、単一のビルにとどまらない面的な開発の足がかりとなりました。
次の大きな開発は1999年のお台場ヴィーナスフォートでだいぶ間が開くんですが、別にさぼってたわけじゃなくてずーっと次の準備をしていたようです。
2000年代以降
■1960年代 ■1970年代 ■1980年代 ■1990年代 ■2000年代 ■2010年代
地図左下、2003年の六本木ヒルズは、森ビルとして最大の開発になりました。計画開始は1986年だそうで、まさにアークヒルズ竣工の年なんですね。それから17年間も、ずーっと六本木ヒルズの準備をしていたと。
何百人もいる地権者を説得してすこしづつ買い上げたりとか、森ビルのプロジェクトはこんなふうに長い時間をかけてようやく実を結ぶということがあるらしいです。
2006年には表参道ヒルズの再開発もありましたが、こういう派手な開発ばかりじゃなく、2009年には芝三田森ビルという小さなかわいいビルを建てたりもしていて、なかなか好感度アップです。
2014年の虎ノ門ヒルズは、森ビルがこれまで虎ノ門周辺で手がけた小さなビルに囲まれた、少なくとも場所的には原点回帰の開発となったんですね。地図を描いてよく分かりました。
丸の内をどかんと払い下げられた三菱と違って、森ビルは何もないところから少しづつ自力で港区を開拓していった。一案件に17年もかけたりして。なんとなく悪者のイメージありましたけど、そういうところはすごいなーと思います。
全体の地図はここから見られます:「森ビル開発史マップ」
間違いなどあればご指摘ください。
参考:森ビル公式サイト「ビル一覧」
追記:
フォトグラファー/ライターの大山顕さんが、森ビル開発史マップを年代ごとにアニメーション化したものを作られました。
森ビルの開発の場所や規模がどう移り変わってきたかが、アニメにすることでとても分かりやすく表現されていてすごいです。ぜひ見てみてください。