お産をするための牛舎に、最近生まれたばかりの仔牛とその母親がいた。
生後しばらくの間、親の乳を飲むことによって親からの免疫が得られるらしい。
最近の飼料には免疫グロブリンという抗体の成分が含まれているため、これだけで十分だと考える人もいるそうだ。「でも病気になる仔もいる。やはり母親の初乳にまさるものはない」と宮沢さんは言う。
帰り際に、ここで生まれた最初の牛を見せて頂いた。
ペコちゃんという1才半のメスで、名前は前歯が欠けていたからだそうだ。肉牛は普通2才半で出荷されるので、手塩にかけたペコちゃんともあと1年でお別れということになる。
とはいえ、それまでのあいだ宮沢さんには何の売上も入らず、経費だけが掛かるのだ。彼女がどれだけいい牛に仕上がり、高く買ってもらえるかはとても重要だ。
宮沢さんに厚くお礼を申し上げてお別れをしようとしたところ、遠いからと最寄の高速バス乗り場まで車でお送り頂いてしまった。
最後まで本当にお世話になりました。