いよいよ井の頭公園付近までやってきた。
このあたりは、神田川で唯一護岸が設置されていない場所で、子供たちが川に下りて遊んでいる姿を見ることができる。
小学生くらいの男の子二人が網で川底を探っていたので、何が採れるのか聞いてみたところ、
「別に何も取れないけど、たまにザリガニがいる。あとはアメンボくらい。」
と、割とつれない返事が返ってきた。
ここに来る道すがらでは、川にコイやカモが泳いでいるのを見かけたけれども、去年10月の新宿区の調査では、ドジョウやメダカ、ボラなども見つかっているらしい。ただし、神田川には所々にちょっとした堰があるので、そうした魚はなかなか上流まで来られないのかも知れない。
そしてついに水源の湧水の地点を見つけることができた。
真ん中の石に囲まれたところから、水が溢れ出している。
近くの立て札の説明によると、この湧水はお茶の水と呼ばれ、
かつては水がこんこんと湧き出していた、と書かれている。
かつては、という割には今でもこんこんと湧き出ているように見えるなあと思って公園の関係者の方にお話を伺ってみると、井の頭公園の湧水は、30年ほど前から実はほとんど涸れていて、現在ではポンプで井戸水を汲み上げているとのことだった。
その方に場所を教えていただいて、公園内に何箇所かあるポンプ小屋の一つのところまでやってきた。
小屋には何の看板も説明もないので、ここでポンプを動かしているということは見ただけではまず分からないけれども、近づくとかすかに何かの機械が動作している高い連続音が聞こえてくる。
地下から汲み上げられた水は、小屋の左側の側面に見える管から地下の水道管に入り、先ほどの地点まで運ばれるのだろうと思う。
落合の水処理場から神田川の9割の水が流れ出ていて、残りの1割だと思っていた水源の水も、実はポンプによって汲み上げられていたことにちょっとびっくりしつつ、その方へのお礼を申し上げ、キコキコと自転車を鳴らしてお家に帰るのでありました。